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お姫様と、そのお姫様を守るように隣に描かれた犬、そしてお姫様のために敵と対峙する王子様が描かれたその表紙のお姫様の髪色がたまたま私と同じだったのだ。
もちろん私もそのお姫様を意識しなかったわけではなく、彼女みたいになりたいと髪型も髪の長さも同じにしていたのだが、一房切られてしまったことで仕方なくバッサリと切り揃え今ではもう髪色以外の共通点はない。
私としては、髪なんてまた伸びるので気にするほどのことではなかったのだが、彼にとってはそうではなかったらしい。
体を張って守られた、という認識が後押ししていたのかもしれない。
グッと両手を強く握ったその男の子は、向かい合わせで座っていたソファからスクッと立ち上がり私の横に両膝をつく。
私の足元にかしずくように跪いた彼は、チラリと絵本を見てから強い意思を宿した眼差しで私を見上げ言ったのだ。
『今日から僕は貴女の犬になります』と。
もちろん断った。
もちろん断ったし、恩を感じてそう言っているのならせめて絵本のように王子様を目指すのはどうかとも言った。
だが彼は頑なに首を振り、絵本の犬を指差して『犬になる』と断言する。
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