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(ほんと、可愛いんだから)
今もまだ私の髪が切られてしまったことを悔やんでいるらしい彼がこうやって熱い視線を向けるので、私はそんな彼の為に今日も今日とて絵本のお姫様と同じ髪型にしてしまうのだ。
そんなジェイクも十八歳。とうとう成人である。
――だが、それと私に婚約者すらいない話は別件である。
立派な番犬と成長した彼が常に私の隣をキープしているせいで、私には異性の友人どころか知り合いもほぼいない。
(夜会に行く時のエスコートはいつもジェイクがしてくれるし、お父様やお兄様と行った時も、向こうでしれっと合流してくるのよね)
ヴラスタ伯爵家の挨拶周りにも何故か当然のように付いてくるし、父が知人と話している間なども私がひとりにならないよう必ず隣にいる。
飲み物や軽食も献身的に持ってきてくれるし令嬢と話すときはさり気なく距離を取ってくれるので私としては何も不満はないのだが、ジェイクが番犬らしくどの令息もブロックしてしまうので話すことすらままならない。
折角の夜会でどこの令息とも知り合えないのは、婚約者のいない現状痛手なのも事実だった。
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