いただきます

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寝ているように見えていたが、亡くなっていたのだ。 「あなたの留守電を何度も繰り返し聞いて・・・、『生意気になって』と何度も言って・・・」母がそこまで言って涙ぐんで黙ってしまった。 僕は、伯母の手に手を重ねた。 まだ、温かかった。涙が一筋、落ちた。 プロジェクトが終わり、日本に帰ってきてから僕は自炊を始めた。 1年も料理を続ければ、不器用な僕でもだいぶ慣れてくる。 そして、今日も金継ぎの茶碗にごはんをよそった。そして手を合わせて言った。 「いただきます」 完
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