いただきます

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伯母が亡くなった。 子供のいなかった、いや、結婚しなかった伯母は、僕を自分の子のように可愛がってくれた。 伯母は僕の母親よりも5歳年上だったが、子供の目で見ても母親より美人で若々しかった。子供の頃に、(当然、、女性の歳など気にしない頃なので)その事を母親に言うと、ムッとされて「あんた達を育てたから苦労してこんな風になったのよ」と言われた。でも、それがウソだと言う事を僕は知っている。結婚前の母親と伯母が写った写真を見ても、伯母の方が美人だった。 伯母はバリバリ仕事をして、僕が高校生の時に、たぶんその頃では珍しい、いや、今でもまだ数少ない上場会社の専務取締役にまで昇進した。一度、高校の部活帰りに、仕事を終えた伯母と街でバッタリ会ったことがある。 通り過ぎた車が止まり、窓が開いて伯母が声を掛けてきた。いつも、休みの日の伯母しか知らなかったので驚いた。 僕は窓越しに「(そう)(僕の名前)、時間あるでしょう? お茶でも飲もうか?」とナンパされた。僕も伯母が好きだったので異論は無い。
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