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「お互い自分の茶碗を作っていたので、彼は少し大きめ、私は少し小ぶり、色も私は透明の釉薬、彼は彼の好きな紺色を選んだわ。出来上がって来てから交換したの」
それで、伯母にしては、少し大きめの茶碗だったのだ。
「その彼は?」
「亡くなったわ。交通事故で」
「・・・そう」
「そろそろ、結婚しようか、と言っていた矢先だった・・・」少し遠い目をして言った。
「ミッちゃん、結婚しないのって、その事が理由なの?」
「別に、結婚しない、って決めているわけじゃないのよ。でも、その時の彼以上の人と出会えなくてね。付き合っていてもついつい比較してしまって、私から醒めてしまうのよ。そんな事を繰り返していると、付き合った男性に申し訳なくて、徐々に恋愛から遠ざかったのかな」
「相手が亡くなってしまうと、良い思い出はより美化されるからね」
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