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真凛に迷いが生じた。
宮川にライセンスを取得できるよう、自分が教える…………父の代わりに。大丈夫だろうか。父から受け継いだ店をたたんでしまう、そんな頼りない娘が父の代わりなんて……父は怒らないだろうか……
「野中さん……このお店を閉めるとおっしゃってましたが、まだ悩んでいるのではないですか?」
心の底を見透かされたようで真凛は言葉を失い、俯く。
「もし、そうなら……お店は一旦休業して、私に付き合ってくれませんか?」
「…………父は……怒らないでしょうか……こんな頼りない娘が、父の約束を果たすなんて……」
「私が祐一さんの娘の貴女に教わりたいのです」
真っ直ぐな目ではっきりと言う宮川の言葉に、真凛の気持ちは少しずつ……でも、確実に傾いていった。
「宮川さんは……悲劇的なポイントに潜って何がしたいのですか……?」
真凛の質問に宮川は言葉一つ一つを確かめるようにゆっくりと答える。
「私は、このアクアマリンの指輪を母に届けたいのです」
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