Aquamarine

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「お疲れ様でした」  マニラ空港で真凛と宮川は握手を交わした。  宮川の晴れ晴れした顔に真凛も嬉しくなる。  50年の時を経てしまったが、やっと指輪を届けてきたのだ。 「野中さん、ずいぶん私は無理を言いました。我儘を聞いてくれて、ありがとうございます。世話を焼いてくれるところは、さすが祐一さんの娘さんですね」  宮川の言葉に真凛は笑った。 「親子ともどもお節介ですから! …………宮川さん、私、もう少し頑張ってみようと思います。きっと世話焼きな父の事だから、宮川さんみたいにあっちこっちで約束していると思いますもん」 「そうかも知れない」  宮川も笑いながら同意する。 「ですよね。だから、父と約束した人が困らないよう……もう少し、頑張ります」 「きっと、野中さんの頑張る姿は祐一さんに届くと思いますよ」 「だと、いいんですけど」  2人は再び握手を交わすと手を振り、それぞれの搭乗口に向かった。 《了》
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