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「なぜ……今、改めてダイビングをやりたいなんて思ったのですか?」
真凛は返事を決めかね、とりあえず1番疑問に思っている事を投げ掛けた。
「潜りたい場所があるんです」
宮川は鞄から地図を取り出し、お店の壁に広げる。外灯の明かりを頼りに真凛は地図を覗き込んだ。
「ここなんですけどね」
フィリピン沖を宮川が指差す。
『悲劇的なポイント』
ダイバーの間では有名な沈船ポイントだった。
確かにここに潜るにはライセンスは必要だ。
初心者には少々厳しいポイントでもあり、真凛は首を傾げる。
「なぜ、ここなんです? 沈船ポイントなら日本にもありますよ?」
宮川は少し長くなりますが、いいですか? と真凛に確認を取り、話し始めた。
「今年、父がね……他界しまして、いえ大往生だと思いますよ。90歳だったんですから。それで先日、遺品整理をしていたんです。そしたら、これがでてきまして」
ポケットの中から古びたリングケースを出し、宮川は開ける。
中には透明な水色の石がはめ込まれた立て爪タイプの指輪がキラリと輝いていた。
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