お盆

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お盆

  さっきまでお母さんのお墓の掃除をしていた。  掃除と言っても墓石を拭き上げて、盆灯籠を用意して、お母さんが好きだったカサブランカを供えて終わり。  三十分もかからない。  思ったよりも早くお墓が綺麗になる。  帰るにはまだ早い。思い出に浸り足りない。  手持無沙汰で供えた花に触れる。  私が来る前から供えてあった仏花の横で白と黄色のカサブランカは頭をもたげて揺らめかす。  カサブランカが揺れるとお母さんの長い髪を思い出す。  お母さんの髪はいつも丁寧に巻かれていて歩く時は軽やかに揺れていた。  明るい茶色で太陽の下ではキラキラと光っていて、美人なお母さんがより一層綺麗だった。 お母さんのふわふわの髪をすくのが好きだった。  抱きしめられたときのシャンプーの香りが好きだった。  髪をすくうようにカサブランカにまた触れる。
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