暖かな食卓

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「ご馳走さまです。改めてですが、本当に美味しかったです」 「ふふっ、お粗末さまです。デザートを用意するから、ちょっと待っててね」  「へっ? いえそんな申し訳……その、ありがとうございます」  申し訳ないです――そう言おうとするも、止める。お断りしたら、却って申し訳ないと思い直したから。 「――あ、ところで羽京(うきょう)くん。さっきの中で、どれが一番好きだった?」  すると、恐らくは冷蔵庫へと向かう途中、ふとこちらを振り返りそう問い掛けるお母さま。……えっと、どれかな。トンカツも卵焼きも、グラタンもお味噌汁も全部美味しかったけど、それでも一番と問われれば―― 「――ほうれん草のおひたし、ですね」  そう、少し躊躇いつつ答える。躊躇ったのは、こういう時はやはりトンカツなどのメインディッシュを挙げた方が良いのかなと思ったからで。  だけど、それ以上にここは正直に答えた方が良いのかなとも思って。繰り返しになるけど、本当に全部美味しかった。そして、その中でもほうれん草のおひたしが一番―― 「――ふふっ、ありがとう羽京くん」 「…………へっ?」  
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