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城之内杏奈①
痛ーーーっ。
こいつ、やりやがった！
包丁でアタシのお腹、刺した！
アタシがキッと睨んでも、トオルは茫然とアタシを見下ろしたまま動かないでいる。
尻もちをついた状態で刺された箇所を見れば、服の上からとはいえ、包丁の柄がお腹から突き出ている光景は、異常事態であることを実感させられる。
あ、お腹の中が熱くなってきた。
これってお腹の中で血が出てるんだよね？
アタシ死ぬのかな？
アタシまだ二十四歳だよ？
やりたい事、まだまだいっぱいあるんですけど？
そう思ったら、なんかムカついてきた。
「て、てめえ。何してくれてんだよ！」
アタシの必死の形相に怯んだのか、トオルは我に返ると一目散に部屋を出て行った。
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