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城之内杏奈②
誰もいなくなった部屋。
包丁は刺さったまま。
お腹の中のジクジクした熱い痛みは続いている。
アタシ、ここで死ぬんだな。
あーあ、短い人生だったな。
思い返せば、こうなったのも仕方がない事なのかもしれないって思う。
だって、五人の男と付き合ってたんだもんね。
それも、同時に。
月曜日から金曜日まで曜日ごとに男を替えて付き合っていた。
月曜日は警察官。
火曜日は消防士。
水曜日は検事。
木曜日は医者。
金曜日は役者。
土日は合コンやマッチングアプリで次の男を探す。
そして、土日に良い男が見つかれば平日の男と入れ替える。
五股だもんな。
本気で結婚とか考えてる男には無理だったんだろうな、こんな状況。
でもさ……。
付き合う時に言っておいたんだけどな。
「あんたは五人の内の一人だからね」って。
そう考えたらさ、アタシ悪くなくない?
あー。やっぱ、トオルの野郎、ムカついてきた。
他の四人はちゃんと上手くやってんだよ。
なんであいつだけ。
あー。早めに切っておけばよかっあ……
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