城之内杏奈②

1/1
前へ
/6ページ
次へ

城之内杏奈②

誰もいなくなった部屋。 包丁は刺さったまま。 お腹の中のジクジクした熱い痛みは続いている。 アタシ、ここで死ぬんだな。 あーあ、短い人生だったな。 思い返せば、こうなったのも仕方がない事なのかもしれないって思う。 だって、五人の男と付き合ってたんだもんね。 それも、同時に。 月曜日から金曜日まで曜日ごとに男を替えて付き合っていた。 月曜日は警察官。 火曜日は消防士。 水曜日は検事。 木曜日は医者。 金曜日は役者。 土日は合コンやマッチングアプリで次の男を探す。 そして、土日に良い男が見つかれば平日の男と入れ替える。 五股だもんな。 本気で結婚とか考えてる男には無理だったんだろうな、こんな状況。 でもさ……。 付き合う時に言っておいたんだけどな。 「あんたは五人の内の一人だからね」って。 そう考えたらさ、アタシ悪くなくない? あー。やっぱ、トオルの野郎、ムカついてきた。 他の四人はちゃんと上手くやってんだよ。 なんであいつだけ。 あー。早めに切っておけばよかっあ……
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加