城之内杏奈③

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城之内杏奈③

っぶねー。 今、一瞬意識飛んだ。 ヤバっ。 アタシ、もう死ぬ。 トオルの野郎、絶対許さねえ! トオルが犯人だってことを警察の人に伝えたい。 逮捕してもらって死刑にしてもらうんだ。 どうにか伝える方法はないのか。 何か昔、サスペンスドラマで見たことがある。 被害者が手掛かりを残して、それを優秀な探偵が読み取って見事犯人逮捕ってやつ。 ダイニングキッチンだっけ? ま、そんな感じの奴。 でもさ、『トオルが犯人です』なんて書いておいたら、アタシが死んだ後、トオルがもし戻ってきたりした時に気付かれて証拠隠滅されちゃうんじゃないの? だったら、トオルが戻ってきても気付かれないような手掛かりを残さないといけない。 しかも、警察の頭のいい人なら気付けるっていう絶妙なラインを狙わなきゃいけない。 警察の人も気付けないんじゃ意味がないじゃん。 考えろ。 容疑者はアタシが付き合ってた五人に絞られるでしょ。 そしたら、やっぱ、職業で判断させた方がいいか。 トオルの職業から連想されるのは……。 あれ?なんか眠くなってきた。 ヤバっ、そろそろかも。 何かないか?何でもいい。何とか絞り出せ、アタシ! あ、わかった!あれだ! 確か、救急箱は鏡台の引き出しに入っていたはず。 あった! 胃腸薬と軟膏。 よし!この二つの物からトオルが犯人だという想い、警察の人に届け! あ……。
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