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「ーーーー静馬」
「うん?」
じっとりとした視線を向ける紅香に、静馬は微笑みながら首をかしげる。
「あんた暑苦しいよ……。なんでこんなめちゃ暑なのに、コートにマフラー姿なのよ」
「だってさ、僕はもう霊体だからね。暑いのも寒いのもわからないし」
「うー、なんか腹立つ……」
イラっとした表情で、紅香は突っ伏していた机をだんっと叩く。
「ねえー、翔さーん。なんかこう、この暑さをぶっ飛ばす、スカッとできる仕事ないの? 机に向かってごちゃごちゃやってるなんて、学校だけでじゅーぶんなんだけど!」
勢いよく椅子から立ち上がりながら、紅香は後ろの机で何やら事務仕事に勤しんでいるらしい男性にがなりたてる。
「あー、うるせぇうるせぇ。ねぇよ、そんなもん。ここんとこ続いた事件で、お前さんが大抵のヤバいヤツらはのしちまったじゃねぇか。今は普通の探偵仕事しかねぇよ」
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