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その時、事務所の扉が音を立てて開いた。
「ーーーー翔さま」
扉を開けてその姿を見せたのは、白い雪模様の着物姿に白髪の小柄な少女であった。
「おう、どうした? 雪乃」
そう言葉を返す翔悟に、雪乃と呼ばれた少女の表情が苦く染まる。
「……その……お客様、なんですが……」
「なんだ、歯切れが悪いな。来客の予定なんかなかったろ。誰だ?」
「それが……」
怪訝な顔の翔悟に、雪乃が歩み寄り耳打ちをする。
途端、その言葉を耳にしたらしい翔悟が、まるで台所でゴキブリを見つけてしまったかのような、嫌悪感むき出しの表情に変わった。
「……マジか……」
「なに? お客さん? もしかして、なんか事件?」
もしかしたら暴れられる案件かもしれないという期待が透けて見えるニヤリ顔で言う紅香に、翔悟があからさまにため息を吐く。
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