2人が本棚に入れています
本棚に追加
翔悟が応接室に入ると、件の男はまるで自らがその場所の主人であるかのように、尊大に足を組みソファにふんぞり返っていた。
「やあやあ、翔ちゃん。くつろがせてもらってるよぉ。しっかしなんだね、相変わらず辛気臭い事務所だねぇ。こんなお化け屋敷でよく客が来るねぇ」
「うるせぇ。大きなお世話だ、聡」
苦虫を噛み潰したどころか、それをミキサーにかけた絞り汁でも飲まされたかのような表情で、翔悟がうなる。
その視線の先にいる男ーーーー大木戸聡は、そんな彼を見て胡乱げなにやにや笑いをさらに深く刻む。
彼が身にまとうスーツは仕立てのいいものだが、ワイシャツは半分はみ出ており、ネクタイはよれよれだ。
靴も高価なもののように見えるが、だらしない様とにやにや笑いが相まって、その男はひどく胡散臭く見えた。
最初のコメントを投稿しよう!