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おじさんは驚いたわけでもなくただ優しい眼差しを向けうなずいた。
「そうか。お前ならどこへでも行けるよ」
「お互いさ、ここのじゃないお墓に入ろうね」
「そうしたいねェ」
「あ、そうだこれ」
私は学校用のリュックを肩から下ろしてチャックを開ける。「出発する前にプレゼント」
リュックの中身を開け次々と中身を取り出しおじさんに渡す。
わざわざ家に戻り中身を入れ替えてきたのだ。
「これくらいあれば暫く持つでしょ。家の中の食材余すの勿体ないから全部あげる。長生きしてよ」
「いつ出発するんだ」
おじさんが尋ねる。
「今週末かな。ていっても今日が金曜だから明後日の日曜日の早朝。荷造りしてあるから、家は……空き家になるけど。あ、住む? ちょうどいいじゃん」
「よくねーよ。常識で考えろガキ」
「あはは」
「明後日の早朝、か……」
一拍思案すると、
「旅立ち祝いに手向けの品でも買ってやろう。なけなしの金で」
「おじさんお金持ってるの」
「財布に僅か。貰いっぱなしじゃすわりが悪いからな」
「じゃあ明後日の出発前にここに寄るよ。期待せずに楽しみに待っとくね」
そう言って私たちは別れた。
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