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昼食のお世話に行った時、工事のおじさんの話をしながらスズさんの枕もとに桔梗を活けたコップを置いた。
スズさんは、桔梗をずっと見つめていた。
午後の散歩のとき、
「桔梗の花がお好きなんですか」と聞いてみた。
「大好きよ。
大好きだし、とっても大切な思い出があってね……」
「桔梗の花に特別な思い出がおありなんですね」
「そうなの…大昔の思い出……」
スズさんは、ほんの少し笑っているような表情で、遠い空を眺めていた。
空を見上げたまま、小さな声でスズさんが言った。
「ねえ、聞いてくださるかしら・・・・・・」
「はい、なんでしょう?」
「昔々の大切な想い出の話し・・・・・・」
「はい、私でよければ聞かせてくださいな」
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