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「酔月楼の妓は、今度、京師の高官宅に呼ばれるの。京師づとめの官僚からなら、天子の呪詛騒ぎの件、何か聞き出せるんじゃないかしら」
感極まり、春宵は幇主の背に両手を回した。
「私の謝罪を聞き入れてくださいますでしょうか、幇主……」
「あら、なぜ謝るのかしら?」
「私は幇主のことを誤解していました。呑む、打つ、買うを全網羅した人格破綻者だと思っていました。呑む、打つ、買うのほかに、妻のことも考えてくださっていたんですね、感謝します」
「当然よ。わたしは先生の令亀の才に賭けてるんだから。もっと儲けさせてちょうだい先生。好き」
幇主は不純な愛とともに、雑多な欲望しか感じない接吻を、春宵の額に落としてきた。
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