五章 離別

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集会場に入ると、朝から酒を飲んでいる者はまだよくて、つまらない理由の喧嘩がほうぼうで起きている。 持ち場につかない者が増えて、せっかく収穫した茶葉は黴が生え、箸を椀に突っ込むと、切れていない青菜がまるごと出てきた。 今の爛石の停滞は、春宵のせいだ。商売道具を水に落とされても仕方がない。 なんとなく、今朝の一件は幇主には言えない気がして、春宵は黙っていることにした。 だが、集団内で隠し事はできないものだ。 「先生の商売道具を、川へぶちまけたのは誰?」 その夜、夕餐の場で、幇主は一同を問い詰めた。
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