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とうにわかっていた。
個人が国なんか相手にできるわけがない。汚名を雪げるわけがない。どうせ死ぬ。ならば、自分を認めてくれた者のために命を使いたい。
「先生は処刑を舐めているわ。天子を呪詛したような大罪人は、ただの処刑じゃないのよ。先生の考えている千倍は惨たらしく、苦しい方法よ。拷問だって盛りだくさんで! 聞いてるの、先生!」
取り乱すほどに過保護じみる幇主に、春宵は吹き出してしまった。
「この幇には、幇主を信じて、着いて来ている人たちが七十人あまりもいるんです。優先順位を誤るべきでない。幇主もご承知なのでは?」
「国府を欺く方法なんて、いくらでもあるのよ。例えば先生によく似た女を用意して――」
幇主は己の発言が気に食わななかったように、押し黙った。
幇主もとうに判断しているのだろう。春宵を爛石に留め置くことは、もはや益より損のほうが多いことだと。それは幇を率いる者として、採るべき行動でないと。
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