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それでも幇主はもどかしげに視線をさまよわせ、引き止めるように話をつないだ。
「わたしはこれ以上……宮中の諍事に関わって不幸になる子を見るのはうんざりなのよ。それに、」
「それに?」
「わたしは後宮を出て以来、夏でもずっと凍えてるの」
統率者というのは、結局身内の誰にも、気を許せないものなのかもしれない。しかもそれが国府から追われる身の上ならなおさら。
誰より愛欲が強いくせに、それを満たすことができずに来た幇主の、それは泣訴なのかもしれなかった。
春宵は幇主の冷たく握りしめた手を包んでやった。
「偉いですね。幇主は幇をこれまでひとりでまとめて来たんですから」
「先生を抱いて寝るようになってから、やっと寒くなくなったのに」
「そういう気持ちも、侶伴の契約を終えれば忘れます」
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