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星は天子直々に面接を賜った殿試の時よりも熱心に、夢中でまくしたてた。
「そこで陛下はご自分の病を口実に、当代最高の貞人を自分の元へ呼びつけた。貞人は何千年も前から天意を問うことを職業にする者。天の意を得た正当な後継として、陛下からこの玉佩を託されたのがこの星だ!」
星は素早く聴衆の反応を確かめる。
この嘘で納得してやろう、という顔が、全体の三分の一ほど。星と交流のあった官と、星の部下はこちら側。
これらの面々は、星が簒奪にしくじれば連座の運命が待つ。彼女らは、今すぐ荷物をまとめて京師から逃亡しするか、あるいは、星の興す新王朝で今より良い地位につくことを期待するか、その二択を迫られ、すでに後者を選択している賭博師たちだ。
彼女らもまた、星と同じく命を賭している。
虫どうしの勝負の行方に人生のなにもかもを注ぐような熱心さで、星という蟋蟀の勝利を、心の底から、希求している。
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