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「――昔から星右侍郎は頭が切れた。その頭脳を簒奪に使うとは思わなんだが」
政敵の揶揄が、群集全体に届く前に、悪鬼の侵入を防ぐ最強の門神のように目を見開いて、星は腹の底から吼えた。
「貴様か! 皇上のご遺志をないがしろにする佞臣は!」
突然の恫喝に驚いた様子の政敵が口を開くより早く、星は言葉を射かける。
「陛下のこの玉佩が本官のもとへ届けられるまでには、時がかかった! 半年もの時が! なぜなら周知の通り――この玉佩を陛下から託された貞人は、天子呪殺の誣告によって追っ手をかけられていたからだ! 本官が保護せねば、今頃、真実は闇に葬られていた!」
政敵は星の命を懸けた大音声と気迫にわずかにたじろいだ。その須臾の沈黙は、群衆に疑念を抱かせるのに十分な間だった。
星に敵対する者こそが、天意に背く者だと。
あと少しだけ、ほんのわずかの権威づけがありさえすれば。
悪と正義は入れ替わる。星は逆賊でなく、正統な王となる。
権威付けが必要だ。天子とは天意の預言者。たとえば天が、星の登極を祝福するような。そんな、地位を保証する、権威づけが。
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