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ここまで情熱的に言われて、少しも心が揺らがない女の子がいるだろうか?
もちろん私も、ルードリックさんの言葉に心が揺れた。これまでに体験した事の無い様な何かが、胸の奥で目覚めるような感覚もある。
それでも、自分がルシェーラだという確信は持てない。情熱的に言われれば言われるほどに、なんだか申し訳ない気持ちになってくる。
「これから、私はどうしたらいいんですか?」
私はルードリックさんに尋ねた。
「私はただの村娘で、何も特別なことなんて出来ないですし。もちろん、前世の記憶なんて持っていません」
そう、それが現実。それが私。
だけど、
「キミは特別なんだ、エルミリア」
と、ルードリックさんは優しく微笑んだ。
「今度こそ、僕がキミを守る。キミが何も心配しなくても済むように」
ルードリックさんの言葉は、私の心に不思議な安心感をもたらした。けれど、同時に不安もジワジワと広がる。
私は、自分の左腕をチラと見た。
この腕輪をつけられた事で、おそらく私はもう彼から簡単に逃れることは出来ないだろう。王族の持つ魔法道具なら、そう簡単には取れないだろうし。
それもあり、ルードリックさんの愛情は嬉しい部分もあったけれど、その重さが私を圧倒していた。
「不安そうだね?」
「それは……。はい……」
「僕はとても心が踊っているけれどね。キミとの素晴らしい日々をもう一度、今世でも体験できるのだから!」
「今の内に言っておきますが、来世も転生したからといって同じ事はしないでくださいよ?」
「何故?」
「また私がビックリするのが目に見えているからです。こういう事は今世限り、良いですね?」
「あと一回で良いから貴方と共に生涯を、と涙ながらに望んだのはキミの方なんだけどなぁ」
「それはそれ、これはこれです!」
この後、彼と過ごした私が最期に『あと一回』と再び望むのかは……
今、私が語るのは野暮というものだろう。
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