マーガレット

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マーガレット

 私を育ててくれたおじさんは話好きの気がいい人で、黙っていてもご機嫌にあれこれ教えてくれたし、いつもマーガレットはキレイで可愛いねと褒めてくれた。  もっとも、褒め言葉は隣にいたあの子やその子にも……あちこちで安売りしていたけれど、ね。  まあそれもおじさんの仕事だから、別に気にしてないわ。  私を讃えてくれるなら、なんでもいいのよ。    そうそう、おじさんは花言葉に詳しくてね、なのに変なところで忘れっぽくて、何度も同じ話をくり返すの。  だから芽を出してすぐ、私は自分の花言葉を覚えたのよ。  恋占い、真実の愛、真実の友情、優しい思い出……まだまだあるんだから。すごいでしょ?  お日様の光を集めたまぶしい黄色の花芯に、カラッと晴れた空の雲と同じ白さの花弁。  未熟で不恰好な仲間たちが間引かれるのを横目に、最後まで選ばれつづけた私は、今日から花屋に並ぶ。  花桶から背筋を伸ばしてたたずむ姿は、きっと誰より美しいはずよ。バラにだって負けないわ。  私を選ぶお客さんはどんな人かしら?  楽しみで仕方ないわ。
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