返事

1/2
前へ
/24ページ
次へ

返事

 その後も今まで通り一緒に大学へ行き、予定がなければ帰ってからライブ映像を一緒に見る。  一週間ほど経っても、吏希は返事の催促をしなかった。多分、僕が言わない限り吏希も言わない。このまま有耶無耶になってしまっても、変わらず接してくれると思う。  でも自分で考えると言ったのだから、答えを出さなければ。  吏希は隣に住んでいて、小さな頃から仲良しの友達。それは今でも変わらない。友達以上の好意を寄せられても、嫌だとは思わなかった。それならば、僕も吏希のことが好きなのだろうか?   最近は一緒にいて胸がドッと鳴って顔が熱くなる。それは好かれていると分かってからだから、僕が吏希を好きだからそんな反応をするってことではないのかもしれない。  深く省みても答えなんて全く出ない。吏希の言う通り、付き合ってみてダメなら友達に戻ろうか。そう考えるのを放棄しかけて頭を振った。きちんと考えてそう思うならいいけど、考えるのをやめて付き合うなんて失礼なことできない。  ふと思い至る。僕は吏希と付き合ったら、キスやそれ以上のことができるのだろうか。……全く想像ができなかった。  大学へ向かいながら吏希と並んで歩く。心を落ち着かせるために何度か深呼吸した。 「あのさ、今日って時間ある?」 「今日は四限までだから、それが終われば暇」 「じゃあ夕飯食べたらお家に行ってもいい? 話がある」  真剣に見つめれば、吏希は小さく頷いた。 「いいよ、待ってる」
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加