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リオンくんとユイトくんが手を振って横に捌ける。再びアズサくんとシンくんが映った。その後ろでリオンくんとユイトくんが小声で何かを話して笑い合っている。仲が良いな、と微笑ましく思っていたら、リオンくんの上着をユイトくんが脱がせてあげてハンガーに掛けた。
僕は目を丸くする。元々メンバー全員が仲が良いことで有名だけど、こんなやりとりは初めて見た。いつもリオンくんは上着を脱いだらソファに置いていた。ユイトくんはハンガーに掛けるけど、それは自分の上着だけだった。仲が良いというだけではない。もしかしてユイトくんとリオンくんは付き合ってる?
「ねぇ、今のリオンくんとユイトくんのこと」
「静かにして! せっかく四人集まったんだから話しかけるの後にして!」
姉さんの意見も聞きたかったけど、僕の話を聞く気は無いようで画面に釘付けのまま止められた。姉さんは多分アズサくんしか見ていなくて気付いていない。
僕はリオンくんとユイトくんが気になりすぎて二人のことばかり見てしまう。四人とも元々パーソナルスペースが狭かったからか、距離が近くても違和感がない。
一時間が経つ頃、コンサートの裏側の話をしてくれた。僕は一公演だけ当たったから、姉さんと二人で観に行く。姉さんは全部外れたから僕はすごく崇められた。
『コンサートでみんなに会えるの楽しみにしてるよ』
『会いに来てね』
レイズの四人が手を振り、配信が終了した。
画面が暗くなって大きく息を吐き出す。いつもはうちわを振りながら見るのに、今日はリオンくんとユイトくんの絡みを見逃さないように画面を食い入るように見すぎて、うちわの存在を忘れていた。
「ねぇ奏斗、途中で何を言おうとしたの?」
僕は姉さんにリオンくんとユイトくんのやり取りを話した。
「え? なにそれ?」
姉さんはSNSを開く。リオンくんとユイトくんの上着の呟きをいくつも見つけて肩を落としていた。
「私もリアタイでリオンとユイトの関係を勘ぐりたかった」
少し待ってアーカイブが見られるようになるとすぐに見直す。姉さんと二人でユイトくんがリオンくんの上着を脱がせる場面を何度も再生しては盛り上がった。
「ユイトが嫁にしか見えない」
「イケメン同士でお似合いだよね」
夜遅くまで語り合って、ベッドに入っても興奮しすぎてなかなか寝付けなかった。次の日は一限から授業があるのに。
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