AI

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最近は、放っておいても文章を書いてくれるの。 一台のタブレットを前に、君が嬉しそうに言う。 読むことが好きな君は、図書館によくこもっていた。けれど今は、あちこちにこもっている。時にカフェだったり、時に公園だったり、時に家だったり。水族館の大水槽の前に一日中いたこともあるよ、と笑うけれど、見ているのは魚ではなくタブレット。それならそこに行く必要ないじゃないと言うと、まぁそうなんだけれどと、やっぱり笑う。 最近は、放っておいても次から次へと新しい文章を書いてくれるの、この子。と、タブレットの画面を僕に見せてくれる君は、なんだか照れ臭そう。なんだかつまらない気持ちになりながら、ちょっと読んでみるとひとつの恋物語が書かれていた。なんだか、ちょっと、と君を見ると、君の顔が赤くなった。へへへと笑う君は、くしゅっと鼻を触る。そんな君を見て、僕はスマホを取り出す。メモ帳を開き書き始めた。 僕は、今、僕のーーー・・・ 君が覗き込む。 君はジッと待っている。 僕のーーー・・・ 君は言う。 私、君のも好きだよ。
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