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弥一と一弥、似ている、だから呼んだ―。
どういうことだ、訳が分からない。そう思いながらも、俺は言われるがままに、指定された場所へ向かった。
それは、さっき俺たちが会った場所から丘1つ越えた、樹齢1000年は経つという桜の木のそば。距離にしてほんの半キロほど。俺を“呼ぶ”ことはできたのに、その距離を動けない。誰に、声が届かない? おかしなことだらけなのに、そのときの俺はそうしたあれこれについて何も聞かなかったし、疑問にすら思わなかった。
彼、弥一は言った。
『その桜の木の下に、盛り土があるはずだ。そこに座っていてくれ。そうしたら、きっとやって来るから、そうしたら伝えてほしい。・・・・・・、と』
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