第2話 残された者たちの決意

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言葉も出なかった。 こんな残酷なことが実際にあったのか。残酷な現実に直面し、なおもユラシルは前に進めたというのか。 こんなのは『挫折を乗り越える』だなんだで飲み込める物じゃない。見せられてしまったユラシルは、もう一人のユラシルの人生の過酷さに胸が締め付けられる感覚に苦しめられる。 ……きっと俺なら無理だ。こんな人生、対面してしまえば一度でも立ち直れない。 〈わかりきったことだけどさ、キミがユラシルになることは不可能だよ〉 「っ…」 〈少なくともキミはこの過去を見始めてからユラシルに追い付こうと思ったはずだ。同じ体験を味わって、乗り越える姿を見て、心情を理解して糧にしようとした。……けど、そんなこと最初から無理だったのさ〉 「………ああ、思い知らされたよ」 片目を失い、一人きりになって座ったまま身動きすらせず考えている少年の姿を見据える。何を考えているのかをスカイリベルに説明されても内情を知るだけで、何故その結論に到ったのか、結論からどうやって前を向けたのか───果たして自分でも出来るのかは話が違う。 「………ユラシルは、王女セリッシャの一件で元の世界への未練を断ち切った。だから、戦うことを選んだんだな」 〈正解〉 完全に吹っ切れ、奮起し、戦場へ現れ大事な存在である師匠と対峙する後ろ姿は小さい子供ながら大きく見えてしまう。 (ああ、これは無理だ) 同じユラシルでも根底から違いすぎるんだ。 思い知らされる。どれだけ浅はかで、軽率で、無謀な思い上がりをしていたのかを。 ユラシルは、生涯を懸けても彼に並ぶことは出来ない───。 〈純粋な強さだけならキミも相当な物だ。それは揺るぎない事実であることをまず自覚するべきだね〉 「………どうも」
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