第2話 残された者たちの決意

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ユラシルは見せられた。 世界最悪との戦いを見たユラシルの感想は───耐え難い悪夢。 見ているだけで気が狂いそうになる戦いとは到底呼べない一方的な蹂躙。しかもそれが何度も何度も繰り返されていた。 (スカイリベルが言っていたことがわかった……あんなの、理解しようと思って見てたらおかしくなる…!) 間髪入れず続いた記憶は紛れもなく記憶の持ち主が体験した物。ただ見ていただけのユラシルが堪らず目を背けたくなる凄惨な光景の連続は今もなお目に焼き付き、思い出すだけでまた吐き気がしてくる。 「………このままじゃダメだ」 見るには圧倒的に覚悟が足りない。ただ糧にするつもりで挑んでいい記憶じゃないのを思い知ったユラシルはふらつきながら立ち上がり、スカイリベルを見据える。 (ユラシルの心情、覚悟を知る必要がある。それにはユラシルをよく知る連中に聞かなきゃなんねえ…) 「少し待っててくれ、足りないモンを補って、改めてチャレンジさせてくれ」 言い残し、ユラシルは背を向け行動に移す。千年前に起きた、間違いなくこの世界の歴史上最大の戦いに参加した人間の話を聞くために。 奇しくもこの時代には、それを知る人間が二人いるのを知っているから───。  ◆ 両膝に手をつきながら息を切らし、大量の汗を流すその姿に少年はゴクリと喉を鳴らしてしまった。 「ハァッ…ハァッ……まだだ…この程度の力では奴を殺すことは出来ん…!」 小さな山のような巨大な岩石が立ち並ぶ『ウォールロック山脈』の一角、周囲の岩石を両断し、粉砕し、風穴を空けてなおそんな感想を吐くセイン・クラックバーン。 「お、お疲れ様ですセインさん……これ、タオルっす」
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