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「すまん。ところで、そっちはどうなんだシェリム。途中から動きが止まっていたが?」
「すみません……セインさんに圧倒されてしまって、気づいたら見てたっす…」
「時間が無いんだ、俺なんぞ気にせず自分を鍛えるのに専念しろ。すでに説明したが、お前の力もフシクスに有効かもしれんのだ。いざという時はお前の力が戦況を左右することを忘れるなよ」
「はっ、はいっす!」
「………だが、少し休息を取ろう。自身を分析しながら鍛練せねば効果は表れんからな」
「了解っす。………?」
「む…?」
セインとシェリムが顔を向けると、その方向から凄まじい速度でユラシルが現れた。
「わりぃ、取り込み中だったか?」
「ちょうど休むところだ。それより、何か用があるんじゃないのか?」
「ああ、あんたら二人にどうしても聞きたいことがあってな」
ユラシルの表情が険しいことに気づき二人は顔を見合わせた。
「───ユラシルがどんな心情で『終局』に挑んだか、か…」
岩の破片に腰を下ろし、水筒から水分を補給してからセインが呟くように言った。
「あんたが言ってくれたように今の俺には挫折した経験が足りない。そこから立ち直る経験もな。だから俺はスカイリベルの力でユラシルの記憶を見て、吸収出来る分は吸収しようと思ってる」
「それがどう繋がる?貴様がそれを知ったところで吸収出来る物は無いように思えるが」
「かもしれない。でも見なきゃなんねえし理解しなきゃなんねえ。俺は『終局』とユラシル、そしてあんたたちとの戦いを十三回見てきたけど足りないんだ」
「………十三回?それだけ見ても理解出来ないのは貴様の理解力が死んでいるからじゃないのか?」
「ひでぇ言い方だけど、まぁ、それもそうだよな……」
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