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「まぁ負けはしなかったが」と付け足し、セインは続ける。
「だが、俺との戦いでユラシルは一つの踏ん切りをつけた。元いた世界への未練を捨て、あくまでも『終局』打倒に専念することに決めた」
「王女セリッシャの時か?なら、あの時ユラシルはあんたと戦ったのか。つか、あんたが勝ったのにユラシルは生かしたんだな、意外」
「何故そう思った?」
「んー……なんとなくだが、あんたは騎士でもないし俺らとも違う独特の雰囲気がしたから。気ぃ悪くしたら悪いけど、殺し屋みてえな冷徹な雰囲気がしたからさ」
「正解だ、その辺りの洞察力や直感は奴と似ているな。俺は元殺し屋をしていた人間だ、人の生き死にには少し考え方が違うからそう感じたんだろう」
「やっぱりそうか。でも、そんなあんたが生かすくらいの魅力がユラシルにはあったってわけだな?」
「いや、奴は確実に殺した」
ユラシルとシェリムが揃って眉をひそめた。
「知っている通り、奴には『終局』の力が宿っていた。それが作用したんだろう、首を落としたというのに復活されては殺せるのかと悩むのも無理はない。それも……大人の姿になった奴を見れば勝つことすら不可能と思わされたからな」
「「………」」
「……本筋から話が逸れたな。まぁ、端的に言えば奴が究極を目指したのも、元いた世界を捨ててでも『終局』を殺したかったのも、結局のところは奴が自由を求めていたからだ」
自由。
その単語にユラシルの胸の中に妙なざわめきが生まれた。
「奴の根底にあったのはそれだけだった。制約やルールには心からうんざりしていた様子はシェリム、お前も何度も見たはずだろ?」
「そ、そうですね……ユラシルさんはいつもめんどくさそうな顔でぶつくさと不満を口にしてたっす」
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