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女の子は、夕日を背負い、長く艷やかなブロンドヘアをなびかせている、サルノスケは思わず見入ってしまう
何なんだ?
くあああ〜!!いててぇ〜!誰だ貴様は!!!
サルノスケと鬼の思うことは同じだった、そんな二人を圧倒するかのように、女の子は立っていた街灯から宙返りをして飛び降り、サルノスケたちの真上を通過する
飛んだ!!
音さえせず地面に着地した彼女はまるで羽衣のように柔らかく軽そうに見えた、鬼は背中の手裏剣を苦虫を噛み潰したような表情で抜き取ると女の子の方へと走っていく
よくもやったな!貴様の目玉から先にいただこう!!ガーガッガッガッガッ!!!
ドタドタと走る鬼に何の焦燥感もない表情で見つめる女の子は、セーラー服のポケットから取り出した1枚の白い紙切れを中指と人差し指の間に挟む
粉塵華!!!
挟んだ紙切れを鬼にめがけ投げつけた、紙切れは鬼にあたった瞬間に白い煙を出して爆発する
うわっ!!なんだこりゃ!!!
真っ白な粉を浴びた鬼の身体はみるみるうちに朽ちていく、重力に負けた体の一部が、まるで水を染み込ませたスナック菓子のように崩れていく
俺の指!俺の顔があああ!!!た、助けてくれ!!うわああああああ!!!!
鬼はボロボロに崩れ散り、灰となってしまった
女の子はそんな灰になった鬼の欠片を足で踏み潰して、近くで見ていたサルノスケと目があった
何が起きてるんだ、夢でもみてるのか
尻餅をついて身動きが取れないサルノスケの手を女の子は握ると凄まじい腕力でサルノスケを起き上がらせ走り出した
いって!なにすんだよ!
いいから来て!
二人は夕日に照らされた河川敷を走る
風に舞い塵と化す鬼の残骸の傍に落ちた漫画誌が、二人の行く末を案じるかの如くページをゆっくりと捲った
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