天国からの届け物

1/3
前へ
/3ページ
次へ
   きんぴらごぼう。あさりのお味噌汁。キャベツ。トマト。白米。メインは目玉焼きを乗せたハンバーグ。  今回の水曜日は、なんだかいつもよりも豪華だ。 「お腹すいた。姉ちゃん、早く」  弟はすでに食卓についていて、箸を構えている。父も、箸を構えるまでではないが、すでに食卓について、スーツの上着も脱いで準備万端の様子だった。 「はいはい、お待たせしました」  私も急いで席に着く。湯気の漂う、温かいご飯。一週間ぶりの、お母さんの料理。無意識に喉がなった。  誰が合図するわけでもなく、三人、手を合わせた。 「お母さん、いただきます」  私も弟も父も、奥に飾ってある遺影は見ない。母も食卓についているという幻影を、思い思いに見ているのだろう。  今週もこれで、私たちは「家族」でいられる。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加