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「さすが理系のエキスパート、燕様。何だか面白い名前でっせね!じゃあ次に行きまっせ」
聞き慣れない星の名前を大きく勘違いしたオヤジは、俺の豊富な知識に感心し、浮遊しながら褒めた。
その後俺とオヤジは打ち合わせを続け、"犯行声明"の内容を決め、その後自然科学に関する、事件解決のヒントとなる"謎解き"を、世間に向けた挑戦として出題することにした。
また桜みらいと、彼女と一緒に音楽フェスに行く友達は殺人のターゲットから外してほしいと頼んだ。なぜなら彼女は大切な同僚で、絶対に死なせたくはないし、ミステリーに精通していることも知っているので、"探偵役"にはおあつらえ向きだからである。そして"推理"をしてもらうためには彼女自身が事件に巻き込まれ、かつ無傷で生存する状況をこちらが"意図的に"作る必要があった。オヤジはこの件も容易く承諾し、この2人だけは爆弾を回避できるように、機械に特殊な仕掛けを施してくれた。
「ははは、至れり尽くせりだな。なんか何から何まで悪いな、オヤジ。結局俺が計画の発案者だけど、実際はお前がほとんど下準備してくれているじゃないか。まあいい。あと残るは犯人として名乗る"ハンドルネーム"だったよな?」
「ええでやんす、わいの方こそ"飼い主"である燕様のお役に立てて光栄でっせ!そうでっせ、それも理系の用語を使うでやすか?」
案の定、でっせの悪オヤジには先を読まれていた。俺は頷いて、メガネの奥の眼を見開き、不気味に笑いながらこう叫んだ。
「ああ!2001年の夏、インド南部で断続的に降った赤色の雨……『ケーララの赤い雨』だ!!
10日後、この名前を名乗り、サイマーフェスに集まったターゲットどもの大半を爆死させる!クソ社会め、"俺様"の本気を見せつけてやるよ、覚悟しとけ!さあ、地獄の"殺戮ショー"の幕開けだ!!」
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