挑発

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、ごきげんよう!!私の名前は『ケーララの赤い雨』。今はきれいに晴れた空が広がっているから、このハンドルネームは場違いかもね、フハハハハ。さて、私主催の盛大な"殺戮ショー"はお楽しみいただけたかな?一瞬だったから、きっとキミたちも何が起こったのか把握できず、茫然(ぼうぜん)としていることだろうね、フハハハハ。では教えてあげよう。これは私が『ズベン・エル・ゲヌビ』という名の高性能特殊爆弾を、キミたちがいるサイマーフェス会場に仕掛け、専門装置を遠隔操作して爆破した結果なんだよ。この爆弾は凄まじい破壊力を備えていてね、万単位の膨大(ぼうだい)な数の人間でも簡単に爆死させることができるシロモノさ。実は私は、社会や人間に対して激しい恨みを持っている。誰でもいいからまとめて人を殺してやりたいと、昔から願っていたのさ。だから桁違いの規模の無差別大量殺人を起こして、世間を震撼(しんかん)させてやりたかったんだ。それには音楽フェスのように、不特定多数の人間が密集する状況がベストだった。そしてキミたちのような未来のある若者を、ゴミ同然にこの世から大量に消し去れば、社会にとっては取り返しのつかないほど"多大な損失"となるはずだ。それこそが私の目的であり、この腐りきった社会に対する復讐なのだよ、わかるかい?素晴らしいだろう?フハハハハ!!」 奇妙な声の主は狂ったように笑い、"犯行声明"とも取れる挑発的な発言をしてきた。身勝手な理由で殺人を正当化するような言い回しだ。 私は黙って聞いていたが、犯人に対して猛烈な怒りの感情が沸き起こった。 社会に対する復讐? 何を言ってるんだ? この犯人に何があったのか知らないが、どういう理由があれ、人を殺すことは断じて許されない行為だ。捕まれば長期間刑務所で拘束され、懲役を受けることになる。仮に観客の大半が死亡していたとして、このようなレベルの大量殺人なら言うまでもなく死刑確定だろう。そんな大罪を犯しても、自分の首を絞めるだけではないか。
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