《新作ミッション》史上最悪の無差別大量殺人事件の謎を追え！ 〜ある探偵女子の涙の奮闘記〜

挑発

それにしても、こんなに大勢の人間を一度に爆死させる特殊爆弾など、この世に存在するのか？あるとしたら、どうやって入手した？まさか化学の知識が豊富で、自ら作ったとか？
確かに先ほどの爆発音は凄まじかったし、周りを見渡す限り、ほとんどの人間が倒れたまま動かない。似たような例としては、ニュースでよく耳にする海外のテロ事件を想起するが、その規模を遥かに超えている。この光景は"異常"としか言いようがない。
怒りながら頭の中で色々と模索していると、『ケーララの赤い雨』と名乗る人物が、相変わらず挑戦的な口調で独走を続けた。
「フハハハハ、いきなりこんなことを言っても、キミたちには理解し難いだろうね。つまり、これは世界で最も悲惨なテロ、歴史に刻まれる大事件というわけさ。少なくとも、日本でこんな異常事態は後にも先にも起こり得ないからね。だから、そんな前代未聞の重大犯罪をやってのけた私は"英雄"というわけ（笑）。"マスゴミくん"や"警察(イシアタマ)くん"たちにも、今話しているものと同じ内容の"音声付犯行声明文"を爆破後に即送付したから、今頃彼らも事件を知って大慌てしていることだろうね、フハハハハ！マスゴミくんたちは、テレビやネットニュースで大いにこの事件を取り扱ってくれたまえ。イシアタマくんたちは協力して捜査をし、少しでも早く私を特定できるよう、せいぜい頑張ってくれたまえ。そしてSNSに依存する、無数の"ネット民"諸君！キミたちの任務は、この大量爆破事件の情報を瞬く間に拡散させ、世界中に発信することだ。日本でとんでもないことが起きたとね。そうすることで私は全世界から注目され、非難され、あるいはごく一部の"サイコパス"たちからは崇拝されることもあるだろう。とにかく私は"愉快犯"であり、絶望した状況でもがき苦しむキミたちの哀れな姿を傍観するのが、至高の楽しみなのだよ。ざまあみろ、フハハハハ！！」
奴は平然と笑いながら好き放題に喚(わめ)き散らし、マスコミや警察、それに日本に何千万人もいるSNSユーザーに対しても、明らかに見下した態度で挑戦状を出してきた。