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親しい人の"意外な一面"を見た時、大抵の人間は驚きが隠せないはずだ。 例えば普段は誰にでも優しくてニコニコしている男性が、電車の中で好き勝手に騒いでいる男子高校生たちに、突然ものすごい剣幕で注意し出すようなシチュエーションがあったとする。他の乗客に迷惑がかかるので、もちろん男性の行動は正しいのだけれども、怒っている姿など見たことがない周りからしたら、珍しくてきっとびっくりしてしまうのではなかろうか。少なくとも私なら、"えっ?"ってなって、一瞬固まってしまうだろう。 そんな些細(ささい)な日常でも驚きの連続なのだから、あんなに優しかった"あの人"が、とてつもなく恐ろしいことをしただなんて今でも信じられないし、信じたくもない。今回のケースでは、意外な一面どころか、"裏の顔"と言った方がしっくりくるレベルだ。なにせ、スケールが桁違いな大事(おおごと)になってしまったのだから。 ねえ、こうするしかないほど思い詰めていたの? なんで悩みを相談してくれなかったの? ひどいよ。悲しいよ。 う、うう……。 私、あなたのこと、助けられなかったよ……。
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