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私もそれを見る限り、ピンとくる数字は思い当たらなかった。
トリプルワン?"サーティワン"しか思い浮かばないな。暑いからアイスクリームが食べたいけど、そんな呑気なこと言ってる場合じゃないし……。
エヌエイチって何だろ。"NHK"の略とか?
あー、もどかしい。
仮にも謎解きは得意なはずだが、いきなり出題されると、このような悪い精神状態では平常時よりも感覚が鈍ってしまう。頭の中の知ってる単語を、うまく引き出せない。
「塩見刑事。この謎解き、後で警察署を出たら依未と一緒に色々調べてみます。犯人を示す重要な手がかりかもしれないので。私、こういう穴埋めパズルみたいなの得意なんです。絶対に解読して、犯人逮捕に協力してみせます!」
謎が解けなくて悔しい私は、奴への反抗心からか必ず答えを見つけ出し、犯人を捕まえ、捜査に貢献しようと決心した。
「はは、頼もしいね。期待してるよ。それじゃあさっきの続きだけど、君の周りで音楽フェスに行くことを知っていた人の名前と年齢を教えてくれ」
「はい」
私は塩見刑事に、家族や友人の情報を告げた。石動燕の名前も、この時にしっかりと伝えた。
その後も事件についての質問が続き、最後に気づいたことがあれば情報提供をしてほしいとお願いされ、埼玉県警察本部の電話番号を教わった。
私は警察署の外に出た。時刻はもう18時になっていた。
メッセージアプリを確認すると、依未から連絡が来ており、浜松町のレストラン『ゼイゼリヤ』で夕飯を食べながら話そうと誘いがあった。私はすぐにOKの返事をし、マップで道順を調べながら浦和駅へと歩き始めた。私の方が話が長かったので、彼女は先に帰路についたようだ。
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