詮索

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詮索

2025年8月6日水曜日、東京・浜松町にて。 毎年のように猛暑が続いているこの時期、昼間は今年も燃えるような暑さだ。 今は仕事が終わって18時を過ぎたところだが、まだ蒸し暑く、外に出ると生ぬるい風が顔に当たる。私は会社の帰り道を、同僚と楽しそうに話をしながら歩いていた。ちょうど帰宅ラッシュの時間ということもあり、オフィス街であるこの近辺は、サラリーマンやOLでごった返している。 初めに、自己紹介を軽くしておく。 私の名前は龍造寺桜(りゅうぞうじさくら)みらい。現在社会人1年目の22歳で、見た目は幼く、背が150cmとかなり低い。髪型はツインテール、色は黒。性格は人間想い。親身になり過ぎて、少々熱くなることも。 得意分野は文学や歴史などの文系科目だ。特技はクロスワードパズルなどの"謎解き"と、昔推理小説を読んでいた影響で"(ひらめ)き"が割と得意である。ミステリー好きで、虫眼鏡を片目に当てるといった、古来の探偵の真似事をするのが趣味。 出身は佐賀県伊万里市。陶磁器の"伊万里焼"は、全国的にも知名度が高い。苗字の龍造寺は、肥前国の戦国大名に由来するらしい。 そしてなんと言っても下の名前の"桜みらい"。音にすると6文字である。女子でこんな長い名前は普通いないだろうと笑われたり、名前を伝えたり呼ばれる度に珍しがられる。よく"佐倉未来"さんですか?と聞き返されるかな(笑)。 この名前が原因で、小中学生の時はクラスの女子生徒によくからかわれた。そのせいか、同性に対して苦手意識が強い。ただ、一人だけ分かり合える親友がいるのだけれど。 私の勤めている会社は、ペットフードを製造する食品業界の中小企業だ。私自身、犬や猫などの動物が好きなので、職種は事務職であるものの、興味のある業界に就職できたことは嬉しく思っている。 私と同僚の男子は、これからレストランで食事をしながらお盆休みの予定について話し合う。彼は同い年の新卒でとても優しく、私の話をよく聞いてくれる、頼もしい男性だ。 私たちはイタリア料理の店『ゼイゼリヤ』に入り、席に座った。そして、それぞれがカルボナーラとペペロンチーノのパスタを注文した。
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