カタストロフィ

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「そ、それから、なぜ俺がわ、わざわざ自分に疑いがむ、向くように、理系や富山など、俺をれ、連想させるワードをな、謎解きに使ったかだがな……さ、桜みらい。き、君に探偵役として、事件をか、解決してほ、ほしかったからなんだ。俺の身近にいる君のす、推理力なら、イシアタマたちよりも先に、俺を犯人とあ、暴いてくれるんじゃないかって……だからひ、人目につかないよ、夜の公園に呼び出し、割と潔くつ、罪を認めてど、動機も話したんだ…捕まる前にじ、自殺するために……。ご、ごめんな、こんな形でり、利用して……。恋愛にはむ、無縁の俺だが、……あ、ありが、と、う……」 「燕ぇー!!」 燕はそう言い残すと、目をつぶり、バタッと倒れた。もう二度と言葉を発することはなかった。 ついに犯罪史上最悪の無差別大量殺人を起こした石動燕は、ナイフを使った自殺によって死亡した。最期まで自己中心的で、身勝手な死であった。 その死を看取(みと)った私。 まさか、死に際に"愛の告白"をされるとは。複雑な気持ちである。 私が泣きながら燕の死体を抱いていると、浮遊したでっせの悪オヤジが、悲しそうにこう言った。 「燕様は最初からこうする運命だったんやすよ。中学生の時の、あのイジメが酷くなった頃からずっと死を望んでおられやした。わいは燕様の側にいたからわかるんやす。地獄の苦しみから"解放"されて、楽になれたんじゃないやすかねえ。でもいざ死なれると悲しいでっせ。わいには優しくしてくれやしたからねえ」 私は何も答えず、泣き続けた。オヤジは再度私に語りかけた。 「桜みらい。今燕様が最期に言ったように、この方はオタクのこと好きだったんやすよ?彼女だけは特別だって。だから爆破の対象からも真っ先に外して、オタクには危害を加えなかったんでっせ。オタクに真相を暴いてほしかったんでっせ。せめてそこだけは伝えておきまっせ。じゃあそろそろ、わいも消えるやすね。オタクが駐車場に待機させてた警察官たちは、わいが先回りして特殊能力で眠らせといたんで、起こしときやす。ほな、さいなら!」
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