カタストロフィ

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「オヤジ!?あなたが眠らせてたの?だから警察は来なかった?」 私がそう言って空中を見上げると、オヤジは既に消えていた。 恐らく燕を確実に自殺させるために、ジャマな警察の出動を阻止しようと、オヤジは先手を打っていたのだろう。どこまで奴に従順なのだ?まさか警察を配備させたのがバレていて、更に人を眠らせることまでできるとは。つくづく不思議な魔物だった。 オヤジがいなくなり、絶命した燕を見て、私は震えが止まらなくなった。そして死んだ彼を抱き、精一杯の想いを吐露(とろ)した。 「燕。さっきも言ったけど、あなたがやったことは大罪で、決して許されることではない。死を選んでも、罪を償ったことにはならないわ。あなたが楽になりたかっただけ。でもあなたからしたら、過去のイジメは死ぬほど苦しかったんだろうし、長年積もった社会への恨みが蓄積されて、今回の悲劇を招いてしまったのね。私は同期の友達でありながら、その苦しみに気づいてあげられなかった。もし本当に私のこと好きだったんなら…苦しい思いを相談してほしかった。事件を起こす前に。もしかしたらあなたの"暴走"を、と、止められたかもしれないのに、うう……。私もね、恋愛経験がまともにないの。でも今考えると私も、優しくて背が高いあなたのこと、好きだったんだと思う。燕のこと、会社でも頼りにしてた。だから信じられないよ。信じたくないよ、こんな現実。警察に捕まってでも、生きててほしかったよ。そうしたらめ、面会にだって行けたじゃない?ねえ。自殺する結末しかなかったの?私だって、昨日の爆発から色々あり過ぎて、精神的に疲れてるのよ。なんであなたの死を、私が…うう…どうして死んじゃうのよ、燕! いやああああ〜〜!!」 私はありったけの声で、答えるはずのない彼に語りかけ、ひとり慟哭(どうこく)した。 そんなに泣き虫でもない私だが、もう耐えられなかった。涙が止まらなかった。
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