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「な、な、なな、何で?」
体が震える。
「な、何でだよ!」
ゆっくりと体を起こし、恐る恐るもう一度発泡スチロールの中を覗き込んだ。見覚えのある大きなハート型のピアスをしているそれは、間違いなく一昨日の夜に別れを告げた、黒島沙菜の生首であった。
「う、うううう、嘘だ。そんなことあるはずがない」
貴弘は生唾を飲み込む。
そんなはずがないのだ。だって一昨日の夜……。
「ねぇ、貴くん。そろそろアタシたちの将来のことを考えて欲しいんだけど」
「将来って……?」
「だから将来は将来だよ。結婚とかそういうこと」
沙菜の顔は微笑んでいるけど、目は笑っていない。
「いや、そのことなんだけどさぁ、俺たちそろそろ終わりにしないか?」
「はぁ?」
沙菜の顔が歪んだ。
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