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「いや、でも……」
さすがに結婚を考えている女がいるとは言えない。
「分かったわ。もういい」
「えっ、別れてくれるの?」
「違うよ。関口真梨香さんだっけ?」
涙を拭った沙菜が、ニヤリと口角を上げた。
「お前……」
「アタシのお腹に、貴くんの赤ちゃんがいることを、あの女に教えてあげるの」
「バカ野郎。そんなことさせるわけねぇだろ!」
「何よ。アタシに隠れてあんなブスと、お金目当てなんでしょ? でも、アタシがあの女にこのことを話したら」
「やめろ!」
「いやぁあああ!」
そして……。
我に返ったとき、貴弘は仰向けに倒れた沙菜に跨って、夢中で首を絞めていた。
「あっ……」
沙菜は大きく目を見開いたまま、ピクリとも動かない。
「うわぁああああああああ」
貴弘は飛び退けて、ガタガタと震えた。
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