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届くモノ
――ピーーンポーーーン。
住んでいるマンションのインターホンが鳴り、藤丸貴弘は通話のボタンを押す。モニターには宅配業者が映った。
「クール便でぇーす」
「あ、ああ、はい」
いったい誰が何を送ってきたのだろうか? 貴弘は思い当たる節がないまま、玄関のドアを開けた。
「こちらに受け取りをお願いします」
差し出されたタッチペンを受け取り、受け取りのサインをする。
宅配業者を送り出すと、貴弘は荷物を持ってリビングに向かい、ダイニングテーブルの上にそれを置いた。
差出人の名前は……。
「えっ」
貴弘は焦った、そこには二股をかけていて、一昨日の夜に別れ話を切り出した黒島沙菜の名前が書かれてあったのだ。
「いや、待て。どういうことだ? だってアイツは……」
貴弘は不審に思いながらも、思い切って梱包を解くことにした。
発泡スチロールの蓋と本体を留めてあるテープを切ると、恐る恐る蓋を開ける。
「ぅううわぁぁあああああああああああ」
貴弘は悲鳴を上げて、そのまま後ろに尻餅をついた。
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