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「──そんな女、高見沢家の役に立つ? あー、子どもを産む道具的な? だったら適任ね。でもあの細い体じゃ子だくさんなんて無理そう。私のほうがよほど安産体型。人生経験ある分、私ならこの先一生、公私ともども全力でサポートしてあげるのに。結婚式じゃなくったってプロデュースできるもんね」
尚登の姿と声を思い出し、いい気分のまま寝ようといそいそと洗面所に歯を磨きに行った。
ひっそりと行う意地悪に気づくカップルはいなかった。おかしいと思っても、多くの人にとって結婚式は人生に一度きりで「こんなもの」だと思うのだろう。最後のアンケートでも満足度の高い評価をもらっている、そうしてウェディングプランナーとしても実績は築いてきた。
自分の欲望のままに接しても新郎たちは、新婦さえ気づかず感謝を述べる。菊田の心の中の高笑いを聞く者はいない。
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