⑦面倒な仲人

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自宅に着付け師とヘアメイクに来てもらい、陽葵と希美は身支度を整える。 すっかり着飾った陽葵を見て、希美は嬉しそうに手を叩く。 「かわいい! かわいいわ! 陽葵ちゃん!」 心からの讃辞に嬉しさがこみ上げる、髪に希美からもらったかんざしを付けてもらえただけでも陽葵は満足だった。 皆が待つリビングに行けば、尚登も笑顔で出迎える。 「いいねえ、かわいい。似合ってんじゃん」 尚登に一回転してと言われ、陽葵は恥ずかしそうにしながらも腕を広げゆっくりと回転した、尚登はなおもかわいいと賛辞を贈る。 尚登も礼装だ、フォーマルな服装で並び立つふたりを希美がスマートフォンで撮影する。んもう、かわいいと呻き、すぐにそれをロック画面に設定した。 支度が終わった仁志と京助と則安ものんびりと歓談していると、メイドがやってきた。 「国井さまがご到着です」 深く頭を下げながらの言葉に空気が一気に張り詰めたと感じるのは陽葵だけか。 正直、国井夫妻は苦手だと感じる。 先日の顔合わせの時のことも思い出し気が重くなる。いかにも指導者らしい強さがあった、運送会社の2代目社長だという。その点で言えば末吉商事の会長や社長も苦手だが、それ以上の圧を感じるのは、国井の人柄なのか、立場の違いからか。
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