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☆
2時間ほど、会食と会話を楽しんでから解散となった。
国井夫妻はタクシーで送り出す、そのあと陽葵と尚登、京助は高見沢家の車で家路に着いた。
「あー、マジ疲れた。はあ、むかつく。なんであんな奴らが仲人なんだろうな」
後部座席に身を委ねてこの時とばかりに尚登は愚痴る、隣に座る陽葵も助手席に座る京助も、大きく頷きたいくらいだ。
「国井さまのお孫様の結婚の際の仲人を引き受けておりますから、そのお返しなのでしょう」
運転する石巻がいう、初老の男性は高見沢家で執事のような仕事をしていた。則安と国井は高校時代からの無二の親友だと聞いている。
「そんなこと、気ぃ遣わなくてもいいのにな」
今時、仲人を立てる方が珍しいだろう。
「義理と人情というところではないでしょうか。仲人となるとしばらくお付き合いは続いてしまいますが、わたくしでよければお相手しますので」
「おお、よかった、助かる」
「ぜひ、家に戻ってきてくださいませ」
「えー」
「でなければお助けするのは骨が折れます」
「えー」
「それと、国井さまの奥様がなんだか偉そうなことを申しておりましたが、あの方こそ全く普通のサラリーマン家庭のお生まれで最終学歴は高校ですよ。しかも今はFランクと呼ばれるようなところなんですから」
そればかりは石巻は嬉しそうに言う、石巻だってはらわたが煮えくり返っていたのだ。
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